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2012年 12月 19日
11月中にご紹介しようと思っていた本です。
だいぶ過ぎてしまいましたがとてもよかったので、遅ればせながらもご紹介します。 ![]() 高楼方子 リブリオ出版 1999年 主人公 爽子 中学2年生。 2学期の途中、父の転勤で引っ越すことに。 しかし、爽子には心残りがありました。 小遣い1月分をはたいて買った美しいノートに何か素敵なことを書くこと。 それはどうしても今しなけらばならないことのように思われたのです。 住む所はもちろん「十一月荘」 双眼鏡の中に見つけた白い家。 赤茶色の屋根に白い壁の十一月荘は西洋の人形の家を思わせます。 爽子は家族と離れて2学期の残りをここで過ごすことになります。 下宿のような十一月荘で爽子は物語を紡いでいきます。 爽子の日常もまた1つの物語。 2つの物語は溶け合います。 14歳の少女がこれほどに深いところで自分と向き合うとは。 友情、住人たちを通して知る他者の存在、初めての恋心、母への反発、自己嫌悪、 様々な感情をもてあましながらも折り合いをつけてゆく爽子。 心が深みを増していく様を描いた骨太の長編。 全ての人に。 とてもおすすめです。 ぜひお読みください。 アン ▲
by books-05
| 2012-12-19 08:23
2012年 08月 04日
暑くて脳みそがふやけるー。何も考えられなーい!
とにかく笑いたい! という方はぜひ ^ ^ ![]() 『ワセダ三畳青春記』 高野秀行 集英社文庫 2003年 中学生~ あーぁ 読み終わっちゃった… 高野秀行さんの本を読み終わるといつもそう思うのです。 いいんだなぁ 高野さん❤ 1ページごと、いや、数行ごとに吹き出してしまう面白さ。 外読み要注意です。 電車の中で読み始めた私は最初の数ページでギブアップ。 だって、真顔で読むなんて不可能なんだもの。 無理 むり。 絶対むり! なにせ本気でコンゴへ怪獣探しに行く変人(失礼!)。 ってコンゴ人に失礼なんじゃない? ( 詳しくは『幻獣ムベンベを追え』 ) 真っ直ぐ加減が半端じゃないのです。 アホなことに(失礼!!)本気で取り組む姿に尊敬の念すら湧いてきます。 そんな高野秀行さんの20代。 面白くないわけがありません。 3畳で暮らすってどんな感じでしょう? 我が文庫部屋の半分。 究極のシンプルライフ(笑) ちゃんとしていなくても、楽しく生きていけるもんだな~ って思います。 そう! 「楽しく」ってとても大事。 高野さんにとって、お金や社会的地位より、好奇心や面白そうなことが優先順位が上なのです。 経済的安定と精神的安定。 難しい問題ですが、たまには直感に従って面白いことしてみたらいいと思います。 あーー。 高野さん、大好き! 本書の最後に高野さんの恋の話しがあって、ちょっと切なかったなぁ。。(笑) 可笑しいだけではありません。 とてもいいです。 文章も「粋」です。 おすすめです! アン ▲
by books-05
| 2012-08-04 08:57
2012年 07月 10日
![]() まはら作品をもう1冊 『たまごを持つように』 まはら三桃 講談社 2009年 中学生ころ~ 温かくて誠実で謙虚な まはら三桃さんの文章。好きです。 中学弓道部の早弥・実良・春のお話し。 性格の違う3人がぶつかったり思いやったり。 青春だわ! 不器用な早弥は一歩ずつ黙々と進んでいきます。 天才肌の実良はスランプに陥って ... 「今の状態はきっと直るということです。今はひたすら精進しなさい。矢数を重ねなさい。そして、直ったときには、あなた自身が今よりずっと大きな人間になっているということです」 実良への先生の言葉。 もがくしかないけれど、逃げなかった人はきっと一回り大きくなれる。 アフリカ系米人を父にもつ春は、大きい。心が大きい 深く考える人の心は大きな広がりを持つのでしょう。 そして、とても印象的な一節。 「あまり早く登ってきたので、自分たちの魂が追いついてこない。だから、待っている」 ヨーロッパ登山隊に同行していた地元シェルパが突然足を止めてしまったときの言葉です。 効率と時短の時代ですが、私たちの魂にはどうしても時間が必要なのではないかと思うのです。 3人は自分の魂と向き合います。 あたたかい空気。 いい本は、隅々まで行き届いています。 ![]() 鮮やかなカナリア色のしおりにうっとりしながら読みました。 おすすめです。 アン ▲
by books-05
| 2012-07-10 08:24
2012年 03月 09日
今日はおとなの本です。
とても美しい物語。 中学生にもよいと思います。 ![]() 『七つの人形の恋物語』 作 ポール・ギャリコ 訳 矢川澄子 角川文庫 1978年 (原書初版 1954年) 中学生ころ~ 『雪のひとひら』『ジェニィ』 私の中では、ポール・ギャリコ、美しい物語を書く人。 『七つの人形の恋物語』 “ 上質 ” という言葉は、この本のためにあるのではないか と思うくらいです。 本書には表題作「七つの人形の恋物語」と「スノーグース」が収められています。 どちらも、このうえなく美しい。 まさに珠玉です。 ギャリコの紡ぐ物語が美しいのか、矢川澄子さんの日本語が美しいのか。 ため息が出ます。 「スノーグース」 見かけこそ醜いけれど、美しい心を失わない画家ラヤダーと、白い大きな鳥、そして、 少女フリスの物語です。 ラヤダーは、人目を避けるようにたったひとり 燈台小屋で絵を描き、野鳥を保護しながら 暮らしています。 ある日、怪我をした白い大きな鳥を抱いた少女が訪れました。 少女は、鳥が南へ渡るまでの間、ラヤダーの家にやってきます。 毎年毎年。 いつしか、少女は美しい女性に成長します。 そして、世界は戦争へと。 好きだのなんだの、そんなことばは一言も書かれていないけれど、切ないほど深い愛。 全身が粟立ちます。 「七つの人形の恋物語」 こちらも、このうえなく美しい愛の物語。 お金も仕事も生きる希望も、何もかも失い絶望した うら若きムーシュ。 ムーシュ、というのは通り名で「蝿」の意。 ムーシュがいかに蔑まれてきたか分かります。 今まさに、セーヌ川に身を投げんとするムーシュ。 すると、人形芝居の小屋から、人形が話しかけてきました。 ムーシュは不思議な七つの人形と出会います。 この一座と行動を共にしたムーシュは人形たちと心を通わせていきます。 そして、一座の長 キャプテン・コック。 人の心の美しさ、醜さ、不思議さ。 ムーシュの純粋な美しさに心打たれます。 静謐な空気をたたえる美しい物語。 強さとともにある愛。 とてもおすすめです。 春を待つ静かな夜にいかがでしょうか。 アン ▲
by books-05
| 2012-03-09 20:03
2012年 01月 28日
冬眠したい寒さです。
私は半分冬ごもり状態^^ でも、ぴんと張りつめた空気の中、星はとてもきれいです。 夕方、西の空に金星がまぶしくらいに輝いています。 ほっそりとした月が楚々と浮かんでいます。 さて、大人の本が続きますが。 ![]() 『舟を編む』 三浦しをん 光文社 2011年 大学時代の友人で本のプロに「本を愛する人には絶対一度は触れて欲しい本だよ」と 薦めてもらいました。 辞書編纂のお話し。言葉を愛する変人がぞろぞろ出てきます。 楽しい♪ 楽しすぎる♪♪ 私のツボに ズボリとはまり へろへろ。 笑って、泣いて、ページをめくる前にまた笑って、泣いてるんだか笑ってるんだかわけが分からなくなり、終いにはむせて、ばったり。。 「笑ってる。気もち悪っ」 「今度は泣いてる。忙しいね~」 「ママ、頭がおかしくなった。。。」 遠くから子どもたちの声がきこえてくる。 三浦しをんには、いつも不意打ちを喰うのです。 ほんの一言に笑わせられ、泣かされる。 あー、楽しかった。あー、疲れた。 「魂の熱量(カロリー)過多」という言葉に目から鱗がぼろりと落ちました。 あー、そういうこだったのね! と。 そして、感情を、気持ちを「言語化する」ということが語られています。 これは、私にとっての「本を読む」ということ。 私は、なぜ、本を読むのか。 それは、混沌とした私の感情や考えを、言語化していくための言葉探しであり、自分以外の人の生き方、考え方、感じ方に出会うためです。 時に言葉は無力ですが、それでも、言葉で表せるということは精神に大きな安らぎを与えてくれます。 否定的だったり、苦しい感情だったりすれば尚のこと。 例えば、友人に裏切られた時、絶望や屈辱、恨みなどたくさんの感情が涌きあがるでしょう。 その時に、「ばか」とか「死ね」とか、そんな言葉しか持ち合わせがなかったら、そのわずかな言葉に気持ちがどんどん凝縮されて、恐ろしい方向へ突き進んでしまうかもしれません。 でも、「あんぽんたん」とか「すっとこどっこい」とか、ここでは書けないような、罵詈雑言を蓄えていれば、気持ちはいろいろな方向へ拡散されると思うのです。 汚い言葉も含めて、たくさんの言葉の蓄えがあるということは、大きな力になると思うのです。 「魂の熱量」大量消費して読了しました。 本屋大賞ノミネート作。おすすめです! なお、これは個人的な感想です。読後感には個人差があります^^ アン ▲
by books-05
| 2012-01-28 12:35
2011年 12月 16日
クリスマス前の華やかな時に、どうでしょうね。
この本(笑) 戦争へ向かう厳しい時代に、若い人たちを思って書かれた吉野源三郎さんの温かさと祈るような思いあふれる作品。 固いタイトルに思わず手を引っこめてしまいそうですが、難しくありません。 ぜひページを開いてください。 ![]() 『君たちはどう生きるか』 吉野源三郎 岩波書店 岩波文庫 青158-1 1982年 本書が新潮社から最初に出版されたのは、日中戦争の始まった1937年でした。 ファシズム、言論統制、戦争、暗い時代へと向かう日本の若者を思って、 「せめてこの人々だけは、時勢の悪い影響から守りたい。 (中略) 今日の少年少女こそ次の時代を背負うべき大切な人たちである。この人々にこそ、まだ希望はある。」 (「作品について」 p302 より) 命がけの執筆です。 主人公コペル君(14歳)が、知識・学問としてではなく、自分の目で見、考え、発見し、感じながら、身にしみた経験として心を成長させていく過程を描いています。 そのコペル君を叔父さんが導いてゆきます。 コペル君と同世代に向けた作品ですから、難しいことばは出てきません。 学校生活や友達とのやり取りが目に見えるようです。 むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをゆかいに ゆかいなことをまじめに 書くこと これは井上ひさしさんのことばですが、まさにこんな風に書かれています。 「君たちはどう生きるか」 生涯を通して、何度も立ち止まって考えること。 その道しるべとなる1冊だと思います。 友だちに対して卑怯なことをしたと悩み苦しむコペル君への叔父さんのことば。 正しい理性の声に従って行動するだけの力が、もし僕たちにないのだったら、何で後悔の苦しみなんかあじわうことがあろう。 (p255) 「王位を失った国王でなかったら、誰が、王位にいないことを悲しむことがあろう。」正しい道義に従って行動する能力を備えたものでなければ、自分の過ちを思って、つらい涙を流しはしないのだ。 この苦しい思いの中から、いつも新たな自信を汲み出してゆこうではないか (p256) 悩むのも苦しむのも悪くない。ね。 目が開かれる思いです。 そして、前回ご紹介した梨木香歩さんの『僕は、そして僕たちはどう生きるか』 戦争へ向かう日本で集団について述べることは命と引き換えだったでしょう。 それを今、梨木さんが再び私たちの前に現してくれたように思います。 難しくないです^^ 語弊があるかもしれませんが、面白いです。 どうぞ気軽にページを開いてみてください。 アン ▲
by books-05
| 2011-12-16 17:47
2011年 12月 02日
10℃を割って真冬の東京。
寒いです。 鈍色の空の下、金色に輝く銀杏が浮かびあがって見えます。 今日は久しぶりにおとなの本。 大好きな梨木香歩さんですが、長いことチェックしていませんでした。 その間、出版されていた中で わしっと心をつかまれた1冊です。 ![]() 『僕は、そして僕たちはどう生きるか』 梨木香歩 理論社 2011年 梨木さん、とうとう哲学書をお書きになったか?!と思いました。 主人公はコペル君 14歳。 染色家の叔父にヨモギが欲しいと相談され、広大な敷地に住む同級生ユージン宅を訪れます。 ユージンの家の庭は自然のままの森を保っており、町の中の異空間なのです。 小学校5年生のころから不登校になったユージン。 久しぶりの再会を果たした二人は、ユージンの古い家と豊かな庭で、仲のよかった小さい頃を思い出しながら、離れていた時間を埋めていきます。 タイトルが全てを語っているように思います。 「僕は、そして僕たちはどう生きるか」 個の「僕」と集団となった「僕たち」 個としての「僕」は、集団の中で「僕」を保てるのか、あるいは、どう変化するのか? 以前、梨木さんは、新聞だったか雑誌だったかで、「命の授業」として豚を育て屠して食べるという授業に対して、違和感を感じると書かれていました。 もう何年も前のことです。 あれ以来、梨木さんはずっとそのことを考え続けてらしたのだ、という場面もありました。 本書は今年4月に出版されました。 私たちに「考えること」「考え続けること」を訴えているように思います。 読みやすい小説です。 でも、とても重く深いです。 考えても考えても答えはでないでしょう。 おそらく、「考え続けること」そのものに意味がある。 世の中の大きな流れの中で、社会・集団の中で、私はどう生きるか。 本書を読み終えて谷川俊太郎さんの「生きる」の一節を思い出しました。 (前略) 生きているということ いま生きているということ それは ミニスカート それは プラネタリウム それは ピカソ それは ヨハン・シュトラウス それは アルプス すべての美しいものに出会うということ そして、かくされた悪を注意深くこばむこと (後略) ぜひお読みいただきたい1冊です。 寒さに向かいます。 みなさま、お体おいといくださいね。 アン ▲
by books-05
| 2011-12-02 19:27
2011年 07月 13日
お月様、だいぶふっくらしてきました。
夏バテ気味か、思うように体が動かないので、夕べは月光浴。 月はとても涼しげです。 さて、今日の1冊。 ![]() 『第二音楽室』 佐藤多佳子 文藝春秋 2010年 中学生ころ~ 表題作「第二音楽室」のほか、「デュエット」「FOUR」「裸樹」の4つの短編が収められています。 それぞれ、小・中・高校生の主人公の言葉で語られていきます。 ちょっと斜め向きなお年ごろ。 投げやりに見えるけれど、とてもたくさんのことを感じたり考えたりしています。 友だちとの微妙な関係、素直になりたい自分。 「デュエット」 音楽の実技テストは、男女ペアで歌うこと。 「せっかく男女で歌うのですから、お好きな方と約束するといいです。これぞと思う方に申し込みをして下さい」 「ただし、男性は女性の申し込みを断ったらいけませんよ。三人に申し込まれたら三回歌うようにね」 こんなことを、さらりと麗しく言ってのける先生。 いいなぁ~(笑) どのお話しも、誰かと1つの音楽を分かち合う(共有かな?)喜びが描かれています。 ピアノは1人で弾くことがほとんどなので、心の底から羨ましいなぁと思いました。 自分の音と誰かの音が重なり響く快感。 合唱や連弾で経験あるでしょう? あの、ほわっと胸がいっぱいになって、肌が粟立つ感じ。 音楽、いいですよね。 分かち合い共有する相手がいれば、もっと楽しい ♪ 本とごはんと音楽と空、私の素^ ^ 午後は文庫です。 今日はどんな出会いがあるでしょうか。 楽しみです。 みなさま、よい1日を! アン ▲
by books-05
| 2011-07-13 09:05
2011年 05月 24日
先日、神宮輝夫さんと宮川健郎さんの対談講演会に行きました。 神宮輝夫さんは、『かいじゅうたちのいるところ』『ツバメ号とアマゾン号』の翻訳者です。 その神宮さんが、最近読んで「とてもよかった」とおっしゃっていた本です。 ![]() 『宇宙のみなしご』 森 絵都 角川文庫 2010年 (1994年に講談社、2006年に理論社から 刊行されたものに加筆修正し、文庫化) 小学校高学年・中学生~ 主人公は、中学2年生の陽子。 印刷所を営む両親は仕事が忙しく留守がちです。 時には、徹夜で仕事、なんて日も。 陽子と年子の弟リンは、退屈しないために、自己流の遊びを生み出してきました。 それは、「人んちの池で勝手に魚釣り」だったり、「目つきの怪しい野良犬の尾行」だったり。 そして、二人のとっておきの遊びは屋根にのぼること。 夜中に他人の家にこっそり忍び込んで・・・。 リンと同じ陸上部の七瀬さんまで加わり、3人で屋根にいるところを、 クラスのいじめられっ子、キオスクに目撃されてしまいます。 軽めのYA(中高生向け)かな、と思って読んでいましたが、 ラストでハッとさせられます。 「宇宙のみなしご」 その意味するところは・・・。 最後に すーっ と風が吹き、空気が一変します。 すごくいいです。 ぱらぱらと読めてしまいますが、ぜひ、ペースダウンしてゆっくり読んでみてください。 さて、本を読みながら眠りが訪れるのも待ちましょう。 至福のときです。 とっても短いことが多いのですが(笑) みなさま、よい夢を。 おやすみなさい。 アン ▲
by books-05
| 2011-05-24 23:40
2011年 05月 10日
昨日は、天使にからかわれているような、不思議な一日でした。 驚く私を見て、天使たちは笑い転げていたに違いありません。 1つも予定通りにいかなかったのに、 結局、思いもよらぬアプローチで、思ったとおりか、それ以上になった、 そんな、日でした。 さて、本との出会いも天使の采配、なんて大袈裟ですが、 あまりに絶妙なタイミングだと、そうとしか思えない時があります。 「読みごたえのあるお話しが読みたい!」という、私のリクエストに対して、 「このあの館」のこみやさんが選んでくださった、おすすめの逸品。 ![]() 『あらしの前』 『あらしのあと』 (1943年) (1947年) ドラ・ド・ヨング 訳 吉野源三郎 岩波書店 1969年 小学校高学年・中学生~ カッコ内の年号は、原書の出版年です。 第二次世界大戦が1939年~1945年、 ドイツがオランダを占領したのが1940年ですから、 まさに、戦乱の最中に書かれた作品です。 舞台はオランダ、野うさぎが跳ねる長閑ないなかです。 「あらし」は第二次世界大戦のこと。 『あらしの前』は、戦争直前までを描いています。 フォン・オルト家の5人(1人は生まれたばかりですが)の子どもたち、 やさしく賢いお母さん、患者さんのために力を尽くすお医者様のお父さん、 よい香りがしてきそうな食卓、楽しいクリスマス。 穏やかで温かな日々。 そして、忍び寄る戦争の暗い影。 『あらしのあと』は、戦争が終わってからのこと。 フォン・オルト家と彼らの親しい人々が、 嫌な戦争の記憶と向き合い、立ち向っていく姿が描かれています。 お母さんのことば。 わたしたちがなにをしようと、それは戦争のせいじゃなくって、 わたしたちがするからするのです。 (『あらしのあと』 p20より) 不機嫌なのは、あの戦争のせい。 何かのせい、誰かのせいにすることは、なんて簡単なんでしょう。 その場しのぎにすぎないのに。 作者のヨングさんは、6人の子どものお母さん。 ナチス占領下のオランダからアメリカに逃げ、この本を書いたそうです。 きっと、オランダに親しい人たちを残してきたことでしょう。 故国が爆撃される中、どんな思いで書かれたかと思うと、胸がつまります。 そして、ドイツ人をひとまとめにして非難しないという姿勢は一貫しており、 ヨングさんの品格と知性と誇りの現れだと思います。 思慮深く繊細な次女 ルトをはじめ、登場人物の心情がとても丁寧に描かれています。 若い読者は、きっと、心の綾、巡らせ方、機微を感じることでしょう。 不安や悲しみ、苦しみを抱えるとき、その胸の内を細かく説明してくれることなんて、 普段の生活の中では、まず、ないですよね。 でも、お話の中では、ちゃんと教えてくれるのです。 いろいろな人の、感じ方や考え方を知ることは、 人の気持ちを察したり、自分の気持ちを言葉にして腑に落としたりすることを、 ずっと易しくしてくれます。 こみやさんが「いや~、泣いたなぁ」とおっしゃっていましたが、 私も泣きました。 涙で本を汚さないようにするのに苦労するくらい。 ずっと抱きしめていたい本。 たくさんの方に読んでいただきたいと思います。 こみやさん、感謝!! あ、この本を私の元に運んでくれた天使は こみやさんですね。 天使の羽と天使の輪、白いワンピースのこみやさん・・・ぷっっ(笑) ごめんなさいっ。 雨が降りだしました。 雨音、好きです。 アン ▲
by books-05
| 2011-05-10 15:39
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