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2012年 09月 01日
9月になりました。
8月が終わると 私の気持ちは一気に暮れに向います。 「今年はあと何冊読めるかしら」 とか 「年賀状にどの写真使おうかな」 とか 「また おせち・・・」 とか 山を越えてまとめの気分。 ちょっと気が早いけど(笑) さて、友人にすすめられて読んだ本を。 ![]() 『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』 万城目学 (まきめ まなぶ) 筑摩書房 ちくまプリマー新書 2010年 小学校高学年ころ~ むずかしいことを やさしく やさしいことを ふかく ふかいことを ゆかいに ゆかいなことを まじめに 書くこと 井上ひさしさんの言葉。 本書はまさにそんな物語です。 小学校1年生の かのこちゃん、麗しい猫のマドレーヌ夫人、いぶし銀の老犬 玄三郎 あー、玄三郎がとっても「いい男」なのですよ。 そして、かのこちゃんの「フンケーの友」すずちゃん お父さん、お母さん。 自由で 楽しくて 不思議に満ちた日々がユーモラスに描かれています。 ごちゃごちゃ考えるのは止めにして、単純に面白い! やさしくて ゆかいで ほこほこした気持ちになります。 そして、いつの間にか、心の奥に澄んだ音が響いていて、 耳を澄ますとまじめな気持ちになって、ふかい所に潜っていかれるのです。 いい本だ~。 マドレーヌ と 玄三郎 と かのこちゃんの間にある「厳然たる種の境界」 人間同士かのこちゃんとすずちゃんの間にある境界。 お互いの境界を認め尊重し、境界線の上でハグしている みんなの姿が目に浮かびます。 こんな風にできたら、世界は平和になるだろうな・・・。 お腹をよじって笑いながら「境界」についてぼんやり考えるのでした。 可愛いとか、ほっこりするとか、あったかいきもちになるとか、そういうレビューが圧倒的に多いです。 そのとおりなのですが、でもね、それだけじゃない! ふかいことを ゆかいに なんです。 すごくいいです。 ゆかいに ゆかいにお読みください。 とってもおすすめです ♪ 他の万城目作品もよまなくっちゃ! アン ▲
by books-05
| 2012-09-01 08:55
2012年 08月 29日
地元の小学校、今年は9月を待たずに新学期スタートです。
ちょっと損した気分ですね。 さて、こちらは 8月31日までばっちり夏休み。 ん? 9月0日 ?! ![]() 『9月0日大冒険』 さとうまきこ 偕成社文庫 2012年 (単行本1989年) 小学校高学年ころ~ 学生にとって8月31日はなんだか もぞもぞとした気持ちになりますね。 主人公は純 小学4年生。 8月31日の夜、冒険に出ます。 降って湧いたような もう1日の夏休み。 夏休みも終わりだというのに純の肌は真っ白のまま。 純のあだなは 「シラミ」 明日学校に行ったら きっとみんなにからかわれるだろうな・・・あぁ 憂鬱。 そんな純は自分の部屋の窓の外がジャングルになっているのに気づきました。 夏休みに遊べなかったんだもん、行くしかない! 夜中にこっそり、デイパックに水筒と食料とナイフを詰めて、いざ冒険へ。 途中、思いがけず道連れを得ます。 純たちの肌が日焼けしていくにつれ、心の色も深みを増していきます。 困難は人を大きくする。 純はピンチに対する中で、友だちやお父さん・お母さんの今まで知らなかった面ばかりか、自分自身をも発見するのでした。 物語が進むにつれ 濃密になっていく空気感。 乾いた大地に水が染みこんでいくようです。 大人はみんな子どもだったこと、忘れさってしまうのは惜しいです。 子どもの私 と おとなの私 を自由にふわりふわりと行ったり来たりできたらいいな と思います。 さて、純は9月1日にどんな顔で登校するでしょうね! はらはら どきどきの大冒険をご一緒に。 さとうまきこさんのHPはこちら さとうまきこ作品館 http://members3.jcom.home.ne.jp/maki-mizushina/ アン ▲
by books-05
| 2012-08-29 09:02
2012年 08月 06日
あの朝、ヒロシマでは一瞬で七万の人びとの命が奪われた
表紙見返しより ![]() 『八月の光』 朽木祥 偕成社 2012年 小学校高学年~ 今日は広島原爆投下の日です。 本書は被爆2世の朽木祥さんの紡ぐ3編の物語。 どの物語にもモデルとなる人がいらっしゃるそうです。 全てにルビがふってあり、 多くの人にあの夏を記憶して欲しい、という切実な思いが伝わります。 亡くなった人はもう語ることはできません。 生き延びた人にとって、語ることはどれほど苦しいでしょうか。 生き延びた方は、私には想像もつかないような凄惨な経験をなさっていても、 「私の経験なんて・・・」とおっしゃいます。 生きていることへの罪悪感・後ろめたさ。 原爆は命を奪い、心を壊しました。 戦争や大災害を前に、私たちは言葉を失い、無力感にうなだれます。 私に いったい何ができるでしょう。 何もできないかもしれません。 でも、無関心でいること、知る努力をしないことは、苦しみながら重い口を開け語ってくださる方に申し訳ないと思うのです。 朽木さんは、私たちにできることは記憶することだ、とおっしゃいます。 小さい子には、世界の美しさ、楽しさ、多様性、愛し愛されることをたくさん感じて欲しいと思います。 根っこは明るいのもであって欲しい。 ですから、文庫には戦争の絵本はありません。 小学校高学年ころからの読み物はあります。 こちらからはすすめません。 関心をもった子に聞かれたら差し出すだけです。 おとなは記憶し、継いでいかなくては。 子どもが関心を持ったときに手渡せる本を知っていなくては、と思います。 長崎の被爆者で核廃絶の様々な活動をなさっている廣瀬方人さんの言葉 自分を他人と比べない 自分がいいと思ったらひとりでも始める ひとりで始めたことが大きな流れになることもある。ならないこともある。 流れなんて生まないことの方が多いでしょう。 でも、いいじゃない! 何もしないよりは。 それが 「世界平和」 という途方もないことのためであっても。 アン ▲
by books-05
| 2012-08-06 10:51
2012年 08月 01日
8月です。
夏休み、いかがお過ごしでしょうか? 私は夏になると読書欲が増すので、積ん読本の山がどんどん高くなります(笑) ![]() 世界一有名な赤毛の女の子 アン 『赤毛のアン』 L・M・モンゴメリ 訳 掛川恭子 講談社 1990年 小学校高学年ころ~ 小学生の頃から、アンの想像力、そして手仕事や料理は羨望と憧れの的でした。 お茶のケーキ、レース編みの模様、部屋に飾られたカエデの葉。 どれも、ささやかなものですが、その美しさはシルクのカーテンやバラの花束に負けない美しさで輝いています。 ダイアナとのふたりだけの秘密が「新しいかぎ針の編み方」 なんてもう最高! 掛川恭子さんの訳は初めてですが、久しぶりにグリーン・ゲイブルズを訪れて、アンは変わらず魅力的でした❤ アン、相変わらずおしゃべりだわ。 ダイアナ、大変じゃないのかな?(笑) でもね、私が歳を重ねたせいでしょうか、マリラの存在がとても大きくなっていました。 アンとの日々の中で、マリラの心が柔らかくなっていく様子に胸がいっぱいになるのです。 アンと暮らすことで呼びおこされた感情、初めての感情に戸惑いつつも、その気持ちを そっと密やかに、そして、大切に胸に抱くマリラ。 自分にも他人にも厳しく、長年の習慣から感情を素直に表すことのできないマリラが 愛おしい。 抱きしめたい! マシューの優しさ、あたたかさ、頑なさも、しみじみと胸にしみます。 落涙、放心・・読了(笑) 山本容子さんの挿絵もすばらしいです。 分厚い本ですが、ぜひお読みになってください。 38章に分かれていますので、1日に1つずつ・・・夏休み終わっちゃうね! 最後に大好きな言葉を。 あしたという日が、まだなんの失敗もしていない新しい日だと思うと、ほっとするわね。 by アン (p270) あの子は頭がいいし、きれいだし、情が深い。この情が深いというのが、ほかのぜんぶをあわせたより大事なことだ。 by マリラ (p415) アンが見たらどんなどんな物語を聞かせてくれるでしょうか? ![]() 私たちの世界は美しい。 文庫の(?)アン ▲
by books-05
| 2012-08-01 11:33
2012年 07月 09日
![]() 初めての作家さんです。 『鷹のように帆をあげて』 まはら三桃 講談社 2012年 小学校高学年~ 「わたし、鷹匠にどうしてもなりたいっちゃん」 理央(中学生)とタカと友人たちの物語。 心に大きな傷を抱える理央がタカを飼うことに。 それは、湧き出るような思いでした。 そんな理央に友人の母がかけたことば。 「何かほしいものができたって、元気が出てきたってことだもんね。 (略) 」 ほんとにね。 大きな悲しみ・苦しみは、あらゆる欲を奪います。 「仏様があの子の心に青空をくださったと思うとよ。どうしようもない悲しみと引きかえにくださったとよ」 理央と友人、それぞれが自分の悲しみと真摯に向き合います。 たとえ、雲が幾重にも重なり合って闇に包まれても、その向こうに青空がある。 誰の心にも悲しみも青空もあるのだと思います。 「飛ぶときは、風に向かって飛べ」 タカと理央たちは青空に向かってはばたくに違いありません。 優しい風が吹き抜けるような作品。 とてもよかったです! アン ▲
by books-05
| 2012-07-09 08:59
2012年 06月 22日
水辺の遊びに、こんなにも心惹かれてしまうのは、これは絶対、アーサー・ランサムのせいだ
梨木香歩さん『水辺にて』 の冒頭を読んだら、読まずにはいられない。 『ツバメ号とアマゾン号』に続く、ランサム・サーガ2巻です。 ![]() 『ツバメの谷』 (上・下) アーサー・ランサム 岩波少年文庫 2011年 (原書初版1930年) 小学校高学年~おとなまで すばらしかった!おもしろかった! ツバメ号のウォーカー4人兄弟 ジョン・スーザン・ティティ・ロジャ アマゾン号の ブラケット姉妹 ナンシイ・ペギイ 待ちに待った2回目の夏休みが始まります。 ところが、いっこうに姿を見せないブラケット姉妹。 どうやら「原住民のごたごた」に巻き込まれているよう。 ピンチと発見と冒険の連続に、もう目が離せない! 私もツバメ号の一員になって、彼らと一緒に息をのみ、歓声をあげ、ホッとして・・・。 そして、さりげなく織り込まれる “ ほんとうのこと ” にぐっときます。 航海士 兼 料理長の長女スーザンを評した一文。 スーザンは、 (略) 胸おどるできごとのために、ほんとうにだいじなこと、たとえば、 (略) 時間どおりに朝食をとるとか、いつものように洗面するとか、 (略) そうしたことがおろそかになるのを、ぜったいゆるさなかった。じっさい、スーザンが いなかったら、ツバメ号の冒険も半分は実行不可能だったろう。 これ、『西の魔女が死んだ』 の魔女修行と同じ。 まともな生活を維持することが、なんでもない日々の暮らしをきちんとするが、大きな 何かにつながっていくのです。 そして、家を抜け出せないアマゾン号のナンシイの手紙。 雲には銀色の裏地があり、教科書にすら終わりあり clouds have silver linings どんな悪いことにも、よいこともある ほんとうに! おとなにも根強いファンを持つ 「ツバメ号とアマゾン号シリーズ」全12巻 メールアドレスに「ランサム」と入れている男性がいるほどです。 単行本はあまりの厚さに伸ばした手を引っ込めそうになりますが、ぜひぜひ お読み ください。 文庫版は神宮輝夫さんが訳を改めて刊行中。現在5巻まで出ています。 とてもおすすめです! それにしても、お母さんがすごい! もう、すごい!の一言しか出ません(笑) アン ▲
by books-05
| 2012-06-22 09:07
2012年 05月 08日
窓辺で、真っ白い芍薬が1輪 外を眺めています。
白い花は、部屋の空気の透明度をあげてくれるような気がします。 さて、白い光の中にいるような二人の物語。 ![]() 『テレビシアにかける橋』 作 キャサリン・パターソン 訳 岡本浜江 偕成社文庫 2007年 1981年偕成社刊 (原書初版1977年) 小学校高学年~ 主人公は5年生のジェシー。 2人の姉と2人の妹、女4人の間にはさまれた男の子。 それだけで、なんだか大変そうですね。 牝牛のミス・ベッシーの乳しぼりがジェシーの仕事。 絵を描くのが何よりも好き。 ただ、からかわれそうなので、友だちには秘密です。 徒競走で1番になることを固く決意したジェシーは早朝練習に励みます。 ある日、ジェシーの近所に少女が引っ越してきました。 名前はレスリー。 ぱっと見ただけでは男の子なのか、女の子なのか分からない、風変わりな子です。 この感受性豊かなふたりの間に、次第に友情が芽生えていきました。 ロープで川を越えると、そこはテレビシアの国。 ふたりは、その国の王であり、王女です。 静かな地で、レスリーは様々なお話しを聞かせてくれます。 ジェシーは想像の翼を広げることの楽しさを知ります。 テレビシアで、ふたりは心の世界を広げていきます。 ふたりは、かけがえのない友となりました。 唯一無二の友。 ところが、ふたりの間に思いがけないことがおこります。 あまり書くと、大切なところが分かってしまうので書けないのがつらいところですが、 ジェシーの心の動き、反応は、きっと、「本当のこと」だろうと思います。 私は、うまく心を整えられぬまま本を閉じました。 でもね、おそらく、ジェシーが時間の経過とともに少しずつ心を収めたように、 私の心も少しずつ落ち着きました。 舞っていたチリが、少しずつ降りて積もるように。 ジェシーの目から見た、両親・姉妹たちへの鋭い視線も面白いです。 友人たちとの関わり方が複雑になりつつある高学年におすすめです。 ジェシーとレスリーと一緒に、日常とテレビシアの国を行ったり来たりしてみてください。 アン ▲
by books-05
| 2012-05-08 16:51
2012年 03月 10日
kodomiru文庫の石丸さんにすすめられて手にした1冊。
今、この本に出会った不思議を抱きしめる。 どの本も、絶妙なタイミングで私の元にやって来ます。 ![]() 『かはたれ』 作 朽木祥 画 山内ふじ江 福音館書店 2005年 小学中級ころ~ かはたれ(かわたれ) 夜明けがたの薄明。おぼろげな光のなかで、かれはだれか見分け難いとき、の意。 「彼は誰」。かはたれどき。古くは、夕暮れどきもこう呼ばれた。 (本書とびらより) 主人公は河童の八寸。 河童年齢61歳。人間で言うと6歳ほど。まだほんの子ども。 両親兄弟と離れ離れになり、ひとりぼっちの八寸は、猫に姿を変え、人間を観察の修行にでます。 麻(5年生)は、母を病気で亡くしてから、自分が見たり聞いたり感じたりすることに自信が持てなくなります。 夕日を見て「美しい」と思う。 でも、次の瞬間、その夕日は本当に「美しい」のか? どうして「美しい」と思うのか? 誰かに教えられたから「美しい」と思うのか? もし、教えられなくても「美しい」と思うのか? 麻はわからなくなってしまうのです。 大切な人、近しい人をなくすと、自分が感じていることにすら自信が持てなくなります。 麻は、その気持ちと向き合い、ひとり考え続けました。 八寸との出会い。愛犬チェスタトン。 3人(?)はお互いを思いやり、その中で、自分の心を光の方へ向けていきます。 丁寧に描かれた麻の心の動き、光へ向かう過程は、深い悲しみを抱える心に重なりあいます。 対象が「小学校中級から」とありますが、もう少し上、少なくとも高学年ころからではないかと思います。 おとなにも、大切な気づきを与えてくれる1冊。 生きていると いろいろなことがあります。 私にとって、本を読むことは、ぐるぐる渦巻いて収拾のつかない思考・感情をことばにするための、ことば探しです。 嬉しい時も、楽しい時も、幸せな時も、そして、悲しい時も、苦しい時も、失意の中にある時も 本があなたに寄り添ってくれますように。 アン ▲
by books-05
| 2012-03-10 11:08
2012年 01月 13日
朝起きて、ぱっとカーテンを開ける瞬間が好きです。
雨でも晴れでも曇りでも。 元気な時も塞いでいる時も、それなりに一日は始まります。 今朝は西の空にくっきりとしたオレンジ色の月が輝いていました。 ただそれだけ。 でも、今日はずっとオレンジ色の月が一緒にいるような気がして ふふふな気分。 さて、夕べ、ごはんの後に読み聞かせをしました。 私の気まぐれで時々読むんです^ ^ 昨年、「このあの文庫」でお借りして、私も手元に置きたくて探していた本。 なかなか見つからなくて、「きっと相応しいときに来てくれるだろう」と神さまに委ねていました。 憧れのような気持ちを抱いていた本は、思っていたよりずっと早く、年末、劇的にやって来ました。 夢を見ているようで、目の前の本を呆然と眺めました。 たくさんの偶然(必然?)が重なり合って、今、私の手の中にこの本がある、その不思議さに圧倒されて声も出ませんでした。 ずいぶん長く呆然としていました。 そして昨夜、やっと開いたのです。 やれやれ、私の時間の流れはどれだけ遅いんでしょうね 笑 ![]() 『イワンの馬鹿』 作 トルストイ 訳 北御門二郎 地の塩書房 1993年 (1881年~1886年) 小学校高学年頃~ 訳者 北御門二郎さんは、「このあの文庫」小宮由さんのおじい様で、生涯をトルストイに捧げられました。 どうぞ、「このあの文庫」のHPをご覧ください。 翻訳に大切なことは、原書に感動し、読者とその喜びを分かち合いたいと思うこと、だから トルストイが涙して書いたところは、私も泣いて訳します 訳者紹介より トルストイ、と聞いただけで尻込みしそうですが、本書に収められているのは易しいことばで書かれた7つの民話です。 読んだのは「イワンの馬鹿」 子どもたちは、タイトルを聞いただけで、けらけら笑っています。 トルストイを前に、わけもなく固くなってしまう私も力を抜いて読み始めます。 馬鹿のイワンと、その二人の兄弟・・・・・ 「馬鹿のイワンだって!」 と娘も息子も大笑い。 「10分くらい読んでくれればいいよ」と言っていた息子ですが・・・ すぐにぴったり張り付いてきて、もっともっと、と案の定最後まで読みました。 約60ページ、1時間、のどガラガラです。 読みたかったから、全部読めて嬉しかったんですけどね^ ^ 読み終えると、息子はとても嬉しそうな顔をしてほっぺにブチュブチュしてきました。 言葉はなかったけれど、何かを感じたようです。 そして、「今度は僕が読んであげる」と。 幸せな夜。 おじい様も、小宮さんもおっしゃっていますが、子どもに戦争のお話しを読ませるより、 「イワンの馬鹿」を読む方が、ずっとずっといいのに、と思います。 子どもたちには、戦争の悲惨さを教える前に、この世のすばらしさ、人の心の美しさをたくさん知ってほしいと思います。 感動する本に出会ったら、ぜひ、読んであげてください。 子どもが何歳になっても。 私の感動を子どもたちに。 「この喜びをあの子に」・・・は「このあの文庫」です^ ^ すみれ文庫にもありますので、ぜひ、お読みください。 アン ▲
by books-05
| 2012-01-13 18:23
| 暮らしの中より
2011年 09月 28日
秋の色が日ごとに深まり、ついこの間まで夏だったことを忘れてしまいます。
かの有名なメアリー・ポピンズが風にのってバンクス家にやってきたのは、木々がが葉を落とした季節でした。 ![]() 『風にのってきたメアリー・ポピンズ』 作 P.L.トラヴァース 訳 林 容吉 挿絵 メアリー・シェパード 岩波少年文庫 岩波書店 1954年 (原書初版1934年) その名前、黒いかさ、大きなバッグは誰もが知っているのではないでしょうか? ロンドンの桜町通りでいちばん小さな家、バンクス家が舞台です。 お話しは、4人の子どもたちの世話をしてくれていたケティばあやが、何の前ぶれもなく出ていったところから始まります。 突然のことに、バンクス家の奥さん、つまりジェイン、マイケル、双子のジョンとバーバラのお母さんは困っていました。 夕方、子どもたちが窓辺に座って東風の音を聞いていると、不思議なことがおこりました。 風が誰かを運んできたのです。 その人こそがメアリー・ポピンズでした。 子どものせわ役としてやってきたのです。 そして、たくさんの不思議ですばらしいことがおこります。 メアリー・ポピンズ、ディズニー映画は見ていないのですが、きれいで明るくて楽しいイメージでした。 ところがところが! どちらかといえば怖い。。。 いえ、明らかに怖い(笑) 質問も口答えも許さない迫力、やや(かなり?)理不尽で、高圧的、無愛想、ナルシスト、 誇り高き女性。 こう並べると、さんざんですね(笑) でもね。 不思議と心惹かれるのです。 なんともいえない魅力に引きつけられます。 バンクス家の子どもたちも私と同じ気持ちのよう。 その魅力は、メアリー・ポピンズの持っている不思議な力によるものだけではないと思います。 奇想天外なファンタジーの世界と、とても現実的な世界が自然に溶け合っていて、両方の世界を軽々と行ったり来たりできます。 メアリー・ポピンズもまたしかりで、不思議な部分と人間的な部分のちぐはぐした感じが、なんとも面白いです。 ショウウインドウだろうと、公園の池の水面だろうと、映るものには全て自分の姿を映してうっとりするメアリー・ポピンズが、私はとても好きです。 私の場合、ギョッとすることのほうが多いのだけれど、ガラスに自分を映す、ってよくやりますよね。 その時、自分の姿しか目に入らない、自分だけを見ている。 そのへんが、とても皮肉っぽく、おかしく描かれています。 そして、メアリー・ポピンズの魅力は、「いざ」という時にあるのではないかと思います。 緩急のバランスが絶妙なんです。 ポイントをギュッとつかんで、無駄がないんです。 ニコニコ優しいだけでは、いまひとつなんですね。 この物語、おとなのものなんじゃないかしら?と思いながら読みました。 とてもとても面白いです。 子どもには子どもの、おとなにはおとなの楽しみ方ができると思います。 メアリー・ポピンズのぴりっと辛口の魅力を、ぜひ、お楽しみください! アン ▲
by books-05
| 2011-09-28 09:47
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